good3そして、俺は恋をした

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 仕事を真面目に取り込む様になって評価が鰻登りの文夫ー。しかし、女性の評価は下がりきっていた。無精髭を剃り、実は可愛いベビーフェイスだということがわかった文夫ー、普通なら人気が出ても可笑しく無いのだが、例の噂が彼の評価を著しく下げている。  異国の♂な彼氏がいる。  礼二が面白半分で同僚に話した事がきっかけで、今では生々しい尾びれが着いた現実味のある話として実しやかに広まっていた。その背景には実は可愛いベビーフェイスだった文夫に、危機感を覚えた男達が話を盛ったという真実が隠されている。  憐れな文夫ー。そして、この噂によって実は昔から文夫の事が好きだった会社1の長身美人、秘書課の瑠美ちゃんが、ショックでウイスキーを煽り、3日も会社を休むという事態が発生していた。  しかし、そんな状況を全く知らない文夫は、現況を作った礼二の横で可笑しいなぁと首を傾げるばかりだった。 「・・・最近、女子の視線がベリークール何だよなぁ・・・。俺なんかしたっけな?」  ー何もしてない。強いて言うなら、モテない男の恨みを買っただけである。 「知らねぇよ。日頃の行いがわりいんだろ?女子の評価は早々変わるもんじゃねぇんだよ」  と自分が原因を作ったにも関わらず、しれっとした態度の礼二。無論、彼にも彼女は居ない。  休日の昼下がりー。  会社の近くにあるデパート街へと繰り出した2人は、ギターの機材を揃える為に楽器屋巡りを敢行する。あれこれ買って、更に出来るならピックアップを変えたり、ギターを調整に出そうという考えである。  貯金は無いが、全く飲みに行かなくなった事でお金には多少の余裕があった。ー足り内分はクレジットで・・・、社会人的なお金の使い方である。  ラフなチェックのポロシャツに白のTシャツを着こなし、青のジーパンがお洒落な文夫は礼二から貸して貰っているソフトギターケースをからい、楽しげな表情ー。未来の天才ギターリスト的なイメージを妄想して、良い気分に浸っている様子だ。  その様子を呆れ顔で見つめる礼二は黒のズボンに黒のジャケット。その中に筆記体のロゴが入った白のTシャツを着て、銀の十字架のネックレスという、一世代前のロッカーを思わせる服装をしている。
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