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所々にドクロがあしらわれたアクセサリーをつけている。
眠そうな瞳を迷惑そうに歪める彼女ー、ストレートヘアーからピョコピョコと飛び出した2つ結びの髪が印象的だった。
少女はもう一度ガム風船を潰しー。
「・・・♂カップル。邪魔」
そう吐き捨てる少女を睨み付けたのは礼二だった。確かに少女から見て2人は邪魔な位置にいたのかもしれない。しかし、初対面に対していきなり♂などと罵倒するような言葉を投げ掛けるなど、口の聞き方以前の問題である。
見たところ明らかに年下の様相ー。ナメられるのは癪に障るというのが正直な気持ちだった。
「おい餓鬼、口の聞き方には気をー」
ガンを飛ばし、説教モードに入ろうとした礼二を手で制したのは文夫だった。あっ?と不満の声を上げる彼に対して、文夫は「済まん」と声だけで謝罪すると少女に向き合った。
「俺達が邪魔だった事は謝ろう。だけど、俺は♂じゃない。何故だと思う?」
何とも気持ち悪い声色に礼二は怪訝な表情を浮かべた。ーと同様に眉をひそめ、ガム風船を膨らまし続ける少女に対して文夫は両手を広げ高々と言った。
「それは君に恋してるからさ!君の名前を教えて欲しい!」
その場に居た全ての人間が唖然とした事だろう。ガム風船を膨らましていた少女も、変に力んだのか破裂したガムが顔に貼り付いている。唖然とした表情、クリクリっとした瞳は大きく見開かれ頬はほんのりと赤かくなっていた。
「・・・お、おい、文夫、お前正気か?どう見たってアウトな年齢だろ?恋愛どうこう以前の話じゃなねぇかー」
「いきなり何を言い出すかと思えば・・・。言っていい冗談と悪い冗談があると思うー」
礼二と少女はそれぞれ文夫に苦言をもらすが、彼は「・・・はぁ?」と怪訝な表情をしてー。
「いや、多分だけど18か19だろ?別に年齢的な問題はねぇーって感じじゃん?しかも結構マジで言ってるんだけど?こんな可愛い娘に会うチャンスなんて早々ないぜ?ここで連絡先ゲットしなけりゃ、もう会えないかもしんねぇじゃん」
ー皆、絶句。
彼の表情は真剣さに満ち溢れており、その言葉に否定出来る要素が無い。
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