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捨てられていたとは思えない程、綺麗に磨かれたそれは木の質感の古さは有れど、新品にも似た輝きを放っている。
「これ、フェンダージャパンの80年モデルのヤツじゃんか!!」
フェンダージャパン 80年モデルー。
作りの良さと木鳴りの良さからファンの間では10万以上の値がつく事のあるストラトギター。ピックアップや配線を弄れば、現存モデル30万クラスの音が出せる様な代物である。見たところ傷は無く、捨てた人間は余程ギターの知識が無いか、音楽を断ったかと言っても過言ではない。
興奮覚めやらぬ礼二とは裏腹に、文夫は何故か床に手をつく程のショックを受けていた。
「・・・まさか日本人だったなんて・・・、お前、ロックの国出身のジョージじゃなかったのか?お前は雄三だったのか?」
そんな下らない事で嘆いていたのかーと呆れる礼二。これでこのギターを捨てると言おうものなら、ボコボコにした上でギターを貰っていく所だったが、どうもそうではないらしい。
「ごめんよジョージ・・・。あんまりにもロックな音色だからアメリカ生まれだと思ったんだ・・・。大丈夫、君が雄三だったとしてもきっと、ロックの精神で世界に羽ばたけるよ・・・」
礼二は思った。
流石に雄三は無いだろうと―。
「馬鹿言うな。コイツは生粋のロックギターだぜ?お前の馬鹿な話を真に受けるなら、そいつは日本生まれのアメリカ人かハーフだろ・・・。完全無欠のロッカーだぜ」
アメリカメーカーの日本製ギター。礼二としてはそういう意味であったがー。
「ー!!そうか!!ジョージ!!お前はやっぱりジョージだったんだよ!!ジョージ!!ジョーーージ!!」
ギターに抱きつきながら嬉し涙を流す文夫を見ながら、礼二は溜息を吐いた。
(そもそも、なんでジョージなんだよ・・・)
「ありがとう礼二!!お前のお蔭でジョージがイケメンハーフロッカーな相棒だって気付けたぜ!お礼にコイツに触る権利をくれてやろう!」
そこまで言ってはないが、あの有名な80年モデルに触れる機会をみすみす逃すわけにはいかない。
「マジかよ!!ソイツは嬉しいぜ!!」
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