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 すると、コーヒーカップに添えていた私の右手に、コウジの左手が重なった。  大きなその手が、私の手を優しく包み込む。  私が顔を上げると、コウジはいつの間にか優しく微笑んでいた。  しかし、次に発せられた彼の言葉は、私に重くのし掛かってきた。 「ユウコ。状況はよく分かったから、ユウコがこれからどうしたいのかを、話してくれないか」  『ユウコ』がこれから――。  私は何だか、コウジに軽く突き放されたような気持ちになっていた。 「私は……早く転職したいと思ってるわよ?」  声が震えそうになるのを必死に堪えながらそう答えると、コウジは満足そうに頷き、私の右手を解放した。 「それは良かった」  そして、コーヒーをひとくち飲んだ後、背もたれにもたれかかり、足を組んだ。  無意識なのだろうが、私を見下ろすような形になった。 「俺もその方が良いと思う。今はこんな不景気な訳だし、君の仕事が見つかるまでは、同棲なんてしてる場合じゃない」
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