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「……場合じゃない?」  心臓の鼓動が急激に速まるのを抑えたくて、胸元に手を置いた。  コウジは、まだ、私を見下ろしたままだ。 「そうだよ。君が転職しても、落ち着いてからじゃなきゃ同棲なんて出来ないし、どんなに早くとも夏までは引っ越しなんて無理だろ?」 「それは、そうね……」 「大丈夫。俺はちゃんと待てるから、ユウコはゆっくり転職先を探すと良い」  そのままの姿勢で微笑んだコウジを見て、胸に渦巻く感情が暴れ出しそうな気配を感じる。  私はもうひとつ、深呼吸をした。
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