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「さっきも話したけど、私、すでに何社か不採用だったの。これからも、すぐに見つからないまま、何ヶ月も無職のままかも知れなくて……」
私は思わず、誰にも話さずに胸に仕舞い込んでいた不安を、言葉に出してしまっていた。
「大丈夫。ユウコは失業保険があるんだから、その間は無職でも、俺は何とも思わないよ。安心して」
コウジは何の躊躇いもなく、そう言って笑った。その顔が何だか、私の知らない他人のような気がしてならなくなった。
しばらくコウジの顔をぼんやり眺めていると、ふいに視界が揺らいだ。
「……ユウコっ!?」
コウジが慌ててこちらに身体を乗り出してきて、テーブル越しに私の頬を触ってきた。
私は、泣いていた。
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