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……遠くから、聞き慣れた音楽が流れてくる……。
……そりゃあ、聞き慣れていて当たり前だよ。携帯電話の着信音だもの……。
「――――っ!!!!」
そこまで考えた時に、私は浅い眠りから完璧に目が覚めた。音楽は、夢の中ではなく、現実世界で鳴っているものだった。
こたつ机に突っ伏していた顔を上げて、首だけ回して携帯電話を探した。座ったままで寝ていたせいか、体中がギシギシと痛かった。
いつの間にか窓から見える景色は夕暮れになっていて、部屋の中も薄暗い。
着信音はまだ鳴っている。よく耳をすませば、音がしているのは洗面所の方からだった。顔を洗った時に置き忘れたのかも知れない。
重い体を何とか動かし、音が鳴る方へと向かう。
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