13人が本棚に入れています
本棚に追加
深いため息をつき、手の中にある携帯電話を眺めた。
着信履歴を呼び起こし、一週間前の日付で残っているコウジの名前を確認する。
胸の奥のどこからか湧いてくる、苦しいほどの衝動に逆らえなくなりそうで、思わず声を出した。
「コウジは今仕事中!」
予想以上に大きく響いた自分の声で、ようやく冷静さを取り戻し、手早く顔を洗った。
洗い終わった顔をタオルで拭きながら、ふと、鏡に映った自分に言い聞かせる。
「一週間くらい連絡が途絶えてたって、平気だよ」
そう。コウジの声なんか、聞かなくても平気だ。
最初のコメントを投稿しよう!