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「……それで?」
コウジの返事は、その一言だった。顔を上げると、真剣な表情の彼が、私の方をじっと見つめていた。
私はひとつ、深呼吸をした。
――それは、コウジの仕事が終わるのを待って、2人で食事をする日だった。
彼の仕事が落ち着いていて、私が休みの日には、そうやって時間を作ってデートをするのが、決まりごとのようになっていた。
今日は私がお店を決める番で、散々悩んでカフェなのにオムライスが美味しいと評判の店を選んだ。全席個室なので、ゆっくり話が出来ると思ったからだ。
コウジの仕事の話を聞いて、評判通りのオムライスに大喜びして、食後のコーヒーが運ばれてきた頃に、ようやく打ち明けることが出来た。
急に笑顔が消えてしまった彼の顔が怖くて、途中で俯いた私に投げかけられたのは、先を促す言葉だった。
「それでって……」
言うべき言葉が見つからず、せっかく上げた視線をまた、テーブルの上のコーヒーカップへと落としてしまう。
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