「これが正義と誰が云うのか」

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 この大陸には暖かい陽光の恵みは届かない。  古の時代に犯した罪に対する罰らしいが、詳しくは誰も知らぬ。  ただ、太陽の恵みなきゆえに、作物が育たない。  充分な食料が得られない。  僅かな食べ物を巡って争いが頻発する中、誰かが言い始める。 『生き抜く力もない奴らなら、殺してやっても構うまい。その分の食料も浮くではないか』  おそらく、この大陸以外であれば、歯牙にもかけられぬだろう。  だがここは違う。  その人外の理を宿した言葉が大義名分となり、始まった……。 『間引き』という名の虐殺が……。  ゆえに、たとえ先述のふたりが、野盗を殲滅できるだけの強大な力を有していたとて、何も変わらない。  略奪虐殺は大陸のそこかしこで見られる当たり前の光景だった……。  確かに太陽の恵みはなく、肥沃な大地などどこにもない。  まさに冬の大陸と云えたが、それ以上にそこに棲む人間の心こそが『冬』だったのだ……。
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