132人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
「明久、朝飯だぞ」
「ありがとう……愛しいカロリーだよ…昨日の晩御飯、ソルトウォーターだったんだ…」
「かっこよく言わずに塩水って言えよ」
「本当に悲惨じゃの…」
「あの…関礼君…」
明久の机で姫路に声を掛けられた。
「ん、どうかした?」
「あの、昨日倒れたって聞いて…」
(どうやら料理の件は隠したようだな。姫路が純粋で良かった…)
「それなら大丈夫! 最近、なんか知恵熱で頭が痛くてさ…」
姫路は心配そうに顔を覗き込むが、心配ないと俺は手を振った。
「最近は何に興味があるんですか?」
雑学ばかりが頭に入っている俺を面白いと思っているのだろう。姫路はここ最近何に興味があるのか訊いてくることが多い。
「今は石を集めたり、お金を集めたりとかかな」
「お金…ですか?」
「そう。世界中で使われているのとか、昔使われていた紙幣、硬貨、いろいろだよ。日本のもあるから今度学校に持ってくるよ」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「昨日の昼ご飯の御礼さ。…そういや秀吉が料理教えて欲しいって言ってたけど?」
「そうなんです…どうやってもあの味にならなくて…」
「あの味?」
「はい、お母さんの肉じゃがを真似るんですけど…どうしても近づかなくて…」
あれじゃ難しいよな…。
「で、なぜに俺に白羽の矢が突き刺さってるの…?」
「土屋君が「…昴夜なら何とかなる。アイツはそういう奴だ」…と言って…」
康太、変に美化すんなよ…なんかこの調子で死亡フラグ建築しそうじゃないか…。
…あれ? 俺、死亡フラグじゃね?
「…俺で何とかなるかねぇ? …ま、頑張っていきますか」
「良いんですか!?」
「でも、俺ばっかりでなく、姫路の努力もいるからな」
「……はいっ!」
そして週末に料理をしようと約束したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!