第一章 キセキの出逢い

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  可愛は居たたまれなくなって立ち上がり、 「ごめんなさい、私、もう帰ります、おやすみなさい」 そう言ってリビングを出ようとすると、 「―――可愛」 と強い口調で呼びとめられ、戸惑いつつ脚を止めてゆっくり振り返った。 「俺を惚れさせてみせてよ」 そう告げて真っ直ぐに見詰めた樹利の強い眼差しに、心臓がバクンと跳ねた。 可愛は強い鼓動と目眩に何も言えないまま会釈だけして、逃げるように部屋を出た。 それは今まで抱いたことのない感情に、胸を焦がした切なくも甘苦しい夜だった。 第一章キセキの出逢い END
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