第二章 動き始める歯車

2/189
47719人が本棚に入れています
本棚に追加
/984ページ
――― ――――― ―――――――― “俺を惚れさせてみせてよ” 思い出すたびに、クラクラと目眩がする。 樹利さんのあの言葉、あれは、どういう意味だったのかな。 可愛はあの時の樹利の眼差しを思い浮かべ、はぁ、と熱い息をついた。 「ちょっと、可愛」 突然、頭上から菜穂の声がし、我に返って顔を上げた。 「菜穂、どうしたの?」 ボーッとした目を見せる可愛に、菜穂は呆れたように腕を組んだ。 「どうしたのじゃないわよ、とっくに講義終わってるよ」 「あっ、うん」 そうだ講義中だったのに、ずっと上の空だった。 「ほら、ランチに行こうよ」 「そうだね」  
/984ページ

最初のコメントを投稿しよう!