第三章 Summer Sweet

4/113
前へ
/984ページ
次へ
――― ――――― ―――――――― 「あー……、もう夕方になるのに、まだ飲みすぎて頭重いっすよ」 akカンパニーのオフィスで仕事をしながら頭を押さえるカズに、麻里がプッと笑った。 「だらしないわね、あの程度で」 「麻里さんが、強すぎっすよ」 そんな話をして二人で笑い合っていると、リンが「大変よ!」と声を上げ勢いよくオフィスに駆け込んできた。 「どうしたんっすか?」 「雑誌社のカメラマンのシゲちゃんに聞いたんだけどね」 ハアハアと息を切らしながらそう言うリンに、 「あら、リンさん、茂田さんのことシゲちゃんって呼んでるの?仲いいのね」 「シゲちゃんなんて、そんなかわいい感じじゃないっすけどね。ヒゲオヤジっすよ」 アハハと笑う二人に痺れを切らしたようにリンは拳を振り上げた。 「もーっ!そんなことはいいの! 大変なのよ、昨日樹利が可愛ちゃんを思い切り泣かせてたんですって!」 勢いよくそう言ったリンに、麻里とカズは「ええっ?」と目を見開いた。  
/984ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48003人が本棚に入れています
本棚に追加