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納得した可愛は空気を変えるように明るく顔を上げた。
「でっ、真紀姉、このマンションはどうするの?」
真紀は「ああ、ここね」と漏らしたあと、可愛をチラリと見る。
「あんたに住んでもらおうと思って。
あんたも二十歳の大学生だし、そろそろひとり暮らしもしたい頃じゃない?」
思いもよらないその言葉に、可愛は大きく目を見開いた。
「驚いた……」
「何が?」
「このマンションは返すと思ってたから」
「このくらいの慰謝料もらわないとね、詐欺にあったんだから」
そう言ってウィンクして見せた真紀に、
「本当だね」
と二人で顔を見合わせクスクスと笑い合う。
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