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鬼でも平和に仲良く暮らしていける場所をつくることが、赤鬼さんが昔誓った夢でした。
しかしその日の夜、魚を取りに行った鬼たちからこんな話を聞きます。
この島の財宝をつけ狙っているものが船でこちらに向かっている、と。
明日の朝にはこちらに着くだろうとも、船乗りは言います。
これを聞いた赤鬼さんは、万全を期して損はないだろうと子供たちや女性を祠へ隠し、鬼たちに迎え撃つ準備をさせました。
「これはいずれ、村へと返す宝。何人たりとも盗らせる訳にはいかん!」
こうして着々と準備が進んでいく盗人撃退作戦。戦いの火蓋は、今まさに切って落とされようとしていました。
◇…………◇
そして朝がやって来ました。日の出が海に写り美しく彩る背景を背に、鬼たちはいよいよと血の気立ちます。
汗が頬を伝い、水滴となって落ちる。今日は暑くなりそうだ、などと呟く者もいました。
その時でした。
一隻の小さな船が、島の海岸(と言っても石ころばかりですが)に乗り付けられたのは。
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