新説日本昔ばなし-桃太郎編-

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 むかしむかしある島に、赤鬼さんとそのお仲間がおったそうな。  毎日岩山を削ってはせっせと建物を作り、畑を作っていた赤鬼たちでしたが、どうにも畑のほうがうまくいきません。 「また不作か」 「えぇ、赤の旦那……これじゃいくら家がしっかりしてても飢えて死んじまうよ」 「魚だけじゃ到底間に合わないしな、どうするか」  今までは魚や貝、海藻を食べて生活してきましたが、年々収穫量が減ってきており、畑を始めたのです。  ですが、もともとが岩山のこの島。大した土もなく、てんで上手くいきませんでした。  ある日の島の集会の時、1人の青鬼がこんなことを言いました。 「船で陸の村まで行って、物々交換をすればいいのではないか?」と。  皆が大いに賛成するなか、1人微妙な気分の赤鬼でしたが、他に打つ手もないと実行に移すことにしました。  何か作るのは得意な鬼たち。自分たちが乗るための大きな船を作るのには、3日とかかりませんでした。
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