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そして赤鬼さんは、青鬼と黄鬼の二人を連れて、船で陸へと向かいます。
追い風がよく吹いていたおかげで、楽に海岸へとたどり着くことができた一行は、予定よりも早く村へ向かうことにしました。
人間が歩くと何日かかかる距離らしいですが、鬼たちならばなんのその。一刻と経たず村へと到着しました。
ここまでは、とても順調でした。
1人の村人を見つけた赤鬼さんは、村長の家を尋ねようと声をかけます。
「そこの御人、すまないが、村長の家は知らないか?」
「あ? 誰だ今オラに話しかけたんは?」
「上だ。でかくてすまんな」
「上? …………ひ、ひぃぃいいいいっ!」
「は?」
するとどうでしょう。突然その男は腰を抜かし、悲鳴をあげたではありませんか。
「いやいや、心配するな御人よ。確かに俺は鬼だが取って食うつもりは――」
「ととと取って食う!? だ、誰かぁ! 助けてくれぇ! 鬼がオラたちの村さ襲いにきただぁ!」
「いやだから違うと――」
「ひぃぃぃぃいいいいっ! い、命だけは、命だけは助けてくんろぉ!」
結局誤解は解けず、見れば周りは血相変えた村人に囲まれていました。
なんだこれは。これでは俺たちが悪者みたいではないか、と思わず黄鬼が呟きます。
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