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赤鬼がどうしたものかと唸っていると、人の間を割って出てくる1人の老人が来ました。
「御老人、あんたが村長か?」
「い、いいいかにも。……頼む! 村の宝と作物の半分をやるから見逃してくれ!」
「は? いや俺たちはそういうことしにきたわけでは――」
「そ、それでは足りないと申されるか!? なら六割、いや七割ならばどうじゃ?!」
「「「だ~か~ら~っ!」」」
「ひいぃぃぃぃいいいっ!!」
結局、不本意ながらも全ての宝と作物を受け取った赤鬼たちは、島へと帰っていきました。
「なんだかんだで、食べ物の問題はしばらくなんとかなりそうだし、仕方ない。いずれこの恩は返そう」
赤鬼さんは、そう自分を納得させました。
◇…………◇
それから1ヶ月ほど経った、ある晴れた日でした。
気持ちのいい青空のもと、赤鬼さんは畑を耕していました。
1ヶ月前は岩だらけだったこの島にも、まともな土がつい最近見つかったのです。
島の子供たちが遊び回るのを眺めながら、赤鬼さんは、やっと自身の夢が叶ったという思いにふけっていました。
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