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「マニトくん、何かね?」
ザグレクは先ほど話しかけてきた茶髪の男に声をかけた。
「これを見てください」
マニトと呼ばれた男は、ザグレクに一枚の紙を手渡す。
「――これは?」
「先程の実験の結果ですが、異常な熱量を探知しました。それが失敗の原因かと思います」
一枚の紙には大きなグラフが書かれていて、何本もの色の違う線が波打っている。
その中の赤色の線が飛び抜けて高く波打っていた。
「そうか。レポートにまとめておいてくれ」
ザグレクは紙をマニトに返すと、着ていた白衣を脱ぎ自分の机の椅子にかけた。
かわりにコートを羽織ると机の上の資料を見ながら呟くように言う。
「ティトゥロくん、ロガルくん、こっちに来てくれ」
「今、ティトゥロは薬品庫に行っています」
ザグレクにロガルと呼ばれた黒髪の背の高い男は、薬品庫へ続く扉を指差しながら答えた。
「そうか。...私は今から少し出かける。ルークが戻ってきたら、2人で今日の実験を始めておいてくれ」
「はい。
...今日はA2でよろしいですか?」
ロガルは壁に掛かったカレンダーを見た。
カレンダーには毎日、びっしりと予定のような物が書かれていた。
「あぁ。実験が終わるまでには戻る」
そう言うとザグレクは研究室を出て行った。
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