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日が傾き始めた頃、研究所にひとりの少年が入ってきた。
10代半ばの少年は深紅の短い髪が特徴的で、とても綺麗な顔立ちをしている。
少し長めの前髪の隙間からは、髪と同じく深紅の瞳が覗いていた。
少年は、研究所に入るとドアに自分の名前が書かれた部屋に入った。
「今日は...A2か」
部屋に入った少年は壁に掛かっているカレンダーを見てつぶやいた。
着ていた黒色の制服を脱ぎ、半袖半ズボンに着替えると、部屋を出て早足で研究室に向かった。
「ただいま戻りました」
少年は研究室のドアを開け、中に入ると研究室内を見渡す。
「ルークくんお帰り」
「ただいま。ザグレク先生は?」
メノルに声をかけられたルークと呼ばれた少年は、不思議そうに訊ねた。
「すぐにお戻りになられます。
...ザグレク先生がこれを」
そう言いながらメノルは、ザグレクに渡されたカプセルをルークに渡した。
ルークはカプセルを受け取ると中を確認するため、カプセルのふたを開け、手のひらの上で逆さにすると小さな錠剤がふたつ、手のひらに落ちてきた。
ルークは何も言わずにそれを飲んだ。
「ルーク、お帰り」
「ただいま、マニト」
「ロガルたちが実験の準備をして待ってるよ」
笑顔でルークに声をかけたマニトは、実験室のドアを指差す。
ルークはマニトが指差した先を確認すると、その部屋へと無言で入っていった。
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