3.心の闇

11/20
前へ
/269ページ
次へ
実験が終わったルークは、自分の部屋で机に向かっていた。 「ーー最近やたらと疲れるな...」 ルークは独り言をつぶやくと、持っていたペンを置いてゆっくりと伸びをした。 実験にかかる時間は休憩を含め、長くて3時間。 しかし、ルークは実際の時間以上の疲労感を感じていた。 Aの実験には2種類がある。 Aとは薬の頭文字を取ったもので、その薬はこの研究所で造られたものだ。 A1はその薬を直接飲む。 A2はAを薄めた液体に浸かる。 どちらの実験も、その後に機械を使った実験が行われるが、ルークはAが何の薬なのかも、その後の実験の内容も知らされていなかった。 ルークが知っているのは、Aの薬は飲んでも浸かってもピリピリと痺れることと、機械の実験が始まるとすぐに意識がなくなることだけだった。 実験には大きく分けると3種類ある。 研究所の人間は、それぞれA、F、Mと呼ぶ。 Fはルークの身体能力を上げるもので、簡単なランニングや筋肉強化の他に、戦うトレーニングも含まれている。 F1ではトレーニング機械などを使って身体を動かす。 F2では特殊な機械を使って、映像に映った相手と戦うのがメインとなる。 Mはルークの知識を上げるもので、一般的な勉強から戦術や爆弾の作り方など、様々な事を頭に叩き込む。 M1は卓上で知識を増やす。 M2は実際に戦術のシュミレーションや物を作ったりする。 実験は週6回でM1、F1、A1、M2、F2、A2の順番で行われる。
/269ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加