3.心の闇

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ルークが学校に着くと、まだ門は開いていなかった。 ルークはヒョイと軽く門を越え、学校のドアの鍵をピンを使い手慣れた手つきで開けると、そのまま屋上へ向かった。 朝一番の屋上はルークのお気に入りの場所だった。 ルークは屋上の真ん中あたりで仰向けに寝ころぶと空を見た。 空は所々雲が浮かび、それ以外は青色が永遠に続いている。 空を十分に見ると、ルークは目を閉じた。 次にルークが目を開けたのは、チャイムが聞こえた時だった。 ルークが屋上から降りてきて教室に入ると、すでにほとんどの生徒が来ていた。 ルークが教室に入ると、一瞬にして騒がしかった教室が静まり返った。 そんな空気を気にすることなく、ルークはまっすぐに自分の席に向かい、席についてすぐに、前に向かって声をかけた。 「セレノ、おはよう」 ルークの前に座っている、ルークより少し小さい少年は笑顔で振り向く。 「おはよう」 セレノと呼ばれた少年は、金髪のくせっ毛で、前髪をピンで止めている。 ルークは"綺麗"と言う言葉が似合うが、少年は"可愛らしい"という言葉が似合うだろう。 「今日も屋上? 好きだよね」 「俺の特等席だからな」 「ルーク、セレノ、おはよう」 ルークとセレノが話していると、ひとりの少女が話しかけてきた。 2人は声の主を確認すると笑顔を向ける。 「おはよう、フィリア」 「おはよう」 フィリアと呼ばれた少女は金髪の長い真っ直ぐな髪を、後ろでひとつにまとめている。 ルークより少し身長が高く、スタイルのいい少女だ。 フィリアはルークの横の席につくと、教室を見渡した。 「あれ? ...ライールは?」 フィリアの言葉を聞きくと、ルークも同じように教室を見渡す。 「ほんとだ、ライールがまだ来てないなんて珍しいな......」
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