3.心の闇

14/20
前へ
/269ページ
次へ
ライールと呼ばれた少年が現れたのは、それから3時間以上後のことだった。 午前中の授業が終わり昼休みになってすぐ、教室に金髪の少し長めの髪をひとつにまとめ、黒縁の眼鏡をかけた長身の少年が入ってきた。 少年が教室に入ると教室の中が騒がしくなった。 「ライール!? どうしたんだよ!」 ライールと呼ばれた少年は身体中傷だらけで、黒い制服もボロボロになっていた。 教室のドアに寄りかかっているライールを見てセレノが駆け寄った。 「大丈夫です。ちょっと喧嘩しただけだけですから」 ライールは近寄ってきたセレノに手をひらひらと振って、痛みに顔を歪めながらもニコリと笑った。 「お前は喧嘩するようなやつじゃないだろ? ......またあいつらか?」 セレノはそんなライールの肩に手を乗せ、まっすぐライールの目を見た。 「えっと、…まぁ…そうなりますね…」 セレノの視線に堪えられず、ライールは視線を床に落とし、言いにくそうに答えた。 「まったく…あいつら1人では何もできないくせに…」 「逆らえないんですからしょうがないですよ。...そうだ、 ...ルーク、これを」 セレノに支えながらルークの斜め後ろの席に着いたライールは、制服のポケットから1枚の封筒を取り出しルークに手渡した。 「――これは?」 「彼らがルークに渡せと…」 ライールの言葉を聞きルークは封筒の封を切り中を確認する。 中には1枚の手紙が入っていた。 「なんて書いてあるんだ?」 セレノは興味津津に手紙を覗き込む。 「…嫌がらせのくだらない言葉ばっかりだ」 ルークはそう言って、セレノが見る前に手紙を握りつぶした。
/269ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加