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ライールと呼ばれた少年が現れたのは、それから3時間以上後のことだった。
午前中の授業が終わり昼休みになってすぐ、教室に金髪の少し長めの髪をひとつにまとめ、黒縁の眼鏡をかけた長身の少年が入ってきた。
少年が教室に入ると教室の中が騒がしくなった。
「ライール!? どうしたんだよ!」
ライールと呼ばれた少年は身体中傷だらけで、黒い制服もボロボロになっていた。
教室のドアに寄りかかっているライールを見てセレノが駆け寄った。
「大丈夫です。ちょっと喧嘩しただけだけですから」
ライールは近寄ってきたセレノに手をひらひらと振って、痛みに顔を歪めながらもニコリと笑った。
「お前は喧嘩するようなやつじゃないだろ?
......またあいつらか?」
セレノはそんなライールの肩に手を乗せ、まっすぐライールの目を見た。
「えっと、…まぁ…そうなりますね…」
セレノの視線に堪えられず、ライールは視線を床に落とし、言いにくそうに答えた。
「まったく…あいつら1人では何もできないくせに…」
「逆らえないんですからしょうがないですよ。...そうだ、
...ルーク、これを」
セレノに支えながらルークの斜め後ろの席に着いたライールは、制服のポケットから1枚の封筒を取り出しルークに手渡した。
「――これは?」
「彼らがルークに渡せと…」
ライールの言葉を聞きルークは封筒の封を切り中を確認する。
中には1枚の手紙が入っていた。
「なんて書いてあるんだ?」
セレノは興味津津に手紙を覗き込む。
「…嫌がらせのくだらない言葉ばっかりだ」
ルークはそう言って、セレノが見る前に手紙を握りつぶした。
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