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血の味に満足したのか、少年はさらに敵地へと進みはじめた。
前線を抜け、完全に敵地へと入り込んだ少年を待っていたのは、大勢の敵。
しかし、少年は楽しそうに笑い続けていた。
その笑みに腹を立てた敵は、一斉に少年に向かって武器を振り下ろす。
それでも、少年は笑う。
遊んでいるかのように。
敵の武器が少年に触れようとしたとき、少年の姿はその場所から消えた。
その代わり、武器を振り下ろしていた敵が次々と倒れていった。
まるで、風が人間を斬りつけているように。
しかしその風の正体は、人間の目では追うことの出来ない速さで、敵を斬りつける少年だった。
立っている敵がいなくなると、先ほどまで立っていた場所に再び少年の姿が現れた。
少年は先ほどと変わらず笑みを浮かべ、全身に真っ赤な血を浴びていた。
その血を見て満足そうに笑う少年。
少年は空を見上げ、ゆっくりと目を閉じた。
数秒後、目を開けた少年は辺りの風景と自分の姿を見て、明らかに嫌悪を感じている表情を浮かべた。
「――……またか...」
少年は急いでその場から立ち去った。
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