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相変わらず解決の糸口が見つからない掃除をしていると何かが水面に浮かび上がってきた。
「・・・布?」
水玉模様の布・・・・・・っっ!!
何かに気付いた楼無は自分が汚れることも省みず悪臭のプールの中に入っていった。
布が浮かび上がってきた辺りに手を突っ込み調べてみると穴に布が引っかかっていた。
「んんんっ!!!」
力を入れて布を引っ張ると・・・
ザバァァ━━━
取れた。
「きゃあ!!」
バチャン━━━
物を抜いた勢いで楼無はプールに尻餅をついた。
ゴォォォ━━━━
どうやらそれが原因だったらしく溜まっていた水は勢いよく流れ始めた。
「・・・・・・これ、私のお気に入りだった服」
買った時は真っ白だった服が今は汚れて、ボロボロの茶色になっていた。
「まだ、一回しか着てないっ・・っっっ!!うっ、っっ・・・わぁぁぁぁ!!!!」
汚れたシャツを抱き締めながら大泣きした。私が一体何をしたのか。目障りだったら解雇すればいいのに、まるで嫌がらせを受けるためだけに雇われている。
辞めたい。こんな仕事・・・・
しかし、両親の言いつけで一人前のメイドにならなければ辞めることを許されない
ため自ら辞めると言う選択肢はなかった。
つまりこのままイジメを受け続けるメイド生活が続く・・・
死にたい・・・・
そう考えると汚物と下水の臭いが入り交じるこの場所は私が死ぬにはピッタリだった。
ガチャン━━━
ギィィィィ━━━━
「っく、うぅぅ・・・え?」
全てを諦めようとした時重い扉は突然開いた。
「楼無!!!」
逆光で人影しか分からなかったが声でそれがすぐに舞だと分かった。
「っっ・・ま、舞さん!!」
ギュゥゥ━━━
汚れている姿にためらうことなく舞は楼無を力強く抱き締めた。
「まっ、舞さん!!っぅうう」
「うんうん、辛かったね。ごめんね私達が気付くの遅れて・・・」
「舞、私許せないよ。楼無をこんな目に遭わせて」
「私も同じ気持ち、すっごく頭にきてる。でも、今はお風呂に行こう」
「そうだね。立てる楼無?」
舞は優しく楼無の手を握った。
「はい・・・」
舞の助けを借りながら楼無は立ち上がり歩き出した。
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