奏柳凜華の採用

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浴場。 「っっっ、っっ」 「ほら、髪洗うよ」 「それじゃあ私は身体ね」 「それにしても犯人どうやって捜す?」 身体を洗う愛に舞は聞いた。 「まどろっこしいことしないで1人ずつ問いつめましょう。流石の私も身内同然の楼無をこんな目に遭わされて内心穏やかにはいられないから」 普段は冷静な愛が鋭い目で言った。 「賛成。その方が手っ取り早いね」 二人は力強く頷き合った。 「だ、ダメです・・・」 「え?」 「どうして?」 予想外の言葉に二人の手は止まった。 「・・・・・・・」 「あ、報復が怖いのね。大丈夫、そのメイドは飛ばして貰うから!」 「そうそう。今回の悪事を全部当主に言えば絶対出来るから」 「それでも・・・ダメなんです」 「・・・・」 楼無の様子に異変を感じ愛は顎に手を当て考え始めた。 「もしかして脅されてるの?だったらこの舞が全力で守るよ!」 「脅されてはいません。ただ・・・もっと厄介な相手に・・・」 「厄介?楼無の言いたいこと分からないよ。ねぇ、愛」 「・・・・・・遠子さんね」 静かに言う愛には確信があった。 コクン━━━ 「・・・・・・」 「あ、あーなるほど。そう言うことっか」 「楼無が何も言わない。言えないのは相手が当主の1人娘だから」 「こんなことになってまで当主を守るだなんてメイドの鏡だね。偉い偉い」 舞は楼無の頭を撫でた。 「でも、そうなると私達の力が及ばない所に原因があるわけだからどうにも出来ないわね・・・」 「愛は楼無がイジメられてるの放っておくつもりなの!?」 「そうは言ってないでしょ!!ただ、私達がいくらメイド長だからって当主に意見出来る立場ではないのよ!」 「出来ないじゃなくてやるの!!」 「だったら具体的な方法を言いなさいよ!!」 「やめてください!!!」 喧嘩の真ん中にいた楼無は叫び二人を止めた。 「・・・これは私の問題なんです。私がしっかりと仕事が出来れば良いだけなんです。愛さんと舞さんが喧嘩することではないんです」 「・・・あ、ごめんなさい」 我に返り謝ったのは愛だった。 「でも・・・仕事が出来ないからってイジメだなんて・・・」 納得出来ない。 舞はそんな表情だった。
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