奏柳凜華の採用

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エントランス。 「・・・あ、虫」 虫を見つけた瑠璃はしゃがみ込みのぞき込んだ。 「お、るーちゃん働いてるね。なにしてるの?」 「ん、虫」 カマキリを捕まえた瑠璃は寧々に見せた。 「っっ!!!きゃああああ!!!それ嫌!ほんっっとに嫌!!!」 悲鳴をあげ近くの柱の後ろに隠れた。 「そうなの?」 「キモい!!キモすぎる!!ポイして!!どこかにポイして!!」 「んー・・・じゃあね」 別れを惜しみながら近くの草むらにカマキリを置いた。 「はぁ、はぁ・・・るーちゃん虫平気なの?」 呼吸を整えながら聞いた。 「平気?・・・よく分かんないけどねねん様みたいな反応はしない」 「それじゃあ覚えておいた方が良いわよ。虫は乙女の天敵なの」 「天敵?」 「えーと・・・苦手なものってこと」 「るーは苦手じゃないよ」 「それはまだるーちゃんが子どもだからだよ」 「んんん、むずい」 「あはは、その内分かると思うよ」 「ん」 「それじゃあ掃き掃除続けよっか」 「おー」 「あ、そう言えばるーちゃん」 「なに?」 「もし、凜華様の他に新しいご主人様が出来たらどうする?」 「どいうこと?」 「えっと・・・もし、凜華様が結婚したら私達のご主人様が二人になるじゃん。そしたらるーちゃんはどうするのかなって?」 「んー・・・・・・どうする?どうする・・・どうもしない」 「どうもしない?」 「ん。いつものお仕事をするだけ」 「はぁーなるほど。るーちゃんはちっちゃいのにキチンとした答えを持ってるんだね」 「照れる」 「それじゃあどんな人がもう1人のご主人様だったら嬉しい?」 「優しい人」 「それは確かにそうだね。後は?」 「無い」 「無いか。分かったありがとね」 納得した寧々はほうきを持って屋敷内に入って行った。
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