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「実はね、私達・・・寧々とやえんとるーちゃんは施設育ちなのだ!」
「・・・・・・」
重い話の筈なのだが寧々の笑顔は崩れなかった。
「しかもそれぞれ親に捨てられたり、虐待されたりなどなど訳あり。そんな親に捨てられて施設で過ごしてたらある日凜華様が来て私達をメイドとして雇ってくれたの」
「でも、それがどうして新しいメイドを雇わないことに繋がるんですか?」
「んー・・・人って言うのはね自分より下の人を見下すの。だから、沢山の人の中で私達みたいな施設育ちが居たら確実に問題が起きる。だから、雇わないし増やさない」
寧々の目は暗く冷め切っていた。
そんなことない!
言い掛けた楼無だったが過去にイジメられた経験を持つ彼女は身を持って体験してるため否定出来なかった。
「・・・・・・」
「・・・っていうのは嘘で、凜華様の退屈を潰せるような人が居ないからかな」
「え?嘘?」
「イエス、嘘」
「も、もぉー!!嘘を言うなら時と場合を考えてくださいよ!!」
「あはは、ごめんごめん。私の悪い所!」
「自覚有りならなおさら悪いです!!」
「あ、あーそろそろやえんの所に行かないと」
「逃げるつもりですか!」
「うん!」
頷き脱衣場を飛び出す寧々は速く楼無が追い付くなんてことは不可能だった。
そもそも、楼無自身に追いかける気が毛頭無かった。
「・・・寧々さんの嘘つき」
寧々の嘘を嘘と思っていない楼無はポツリと呟いた。
厨房。
ガチャ━━━
「ただいまーしっかり働いてる?」
「お帰りなさいませ、寧々様」
「おぉ、やえんってば今日は怒らないの?」
怒りが感じられない声色と口調に安心した。
「いいえ、怒っていますが私は怒らないように言われてるので」
「言われてる?誰に?」
首を傾げる寧々は後ろの人影にはまだ気付いていなかった。
「お帰り寧々。散歩は楽しかった?」
「はんっ!?み、みやみや・・・」
「気まぐれで手伝いに来たと思えばすぐ居なくなる。どうやらあなたの首には鎖を付けておかないといけないようね」
「それは・・・あんまりじゃない?」
「自業自得。ですよ寧々様」
「そうね」
ジャラッ━━━━
鎖を持った美夜は微笑みながら寧々の前に立った。
「ちょ、ちょっと待って・・・嫌、うう、うきゃぁぁあああ!!!!!」
バタン━━━
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