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時刻は流れ22時・・・
凜華の部屋。
「流石にこの時期になると夜は冷えるわね」
「もう一枚着られますか?」
「遠慮しておくわ。動きづらいのは好きではないの」
「それでは着ても苦にならない物を用意しておきます」
「えぇ」
「紅茶の方はいかがですか?」
「いただくわ」
美夜は凜華のティーカップに静かに紅茶を注いだ。
「明日、愛と舞に会いに行くわ」
「準備は整っています」
「今度は邪魔が入らないようにして」
「邪魔と言うのは新城様のことでしょうか?」
「それも含めてよ」
「はい」
「どうしても邪魔なら処分してもいいわ」
「最終手段として覚えておきます」
・・・冗談って分かってるわよね。
考えの読めない美夜の笑顔にふと頭をよぎった。
「ふわぁーそろそろ寝ようかしらね」
「寝室の方に準備が出来ています」
「・・・あの子達は何をしてるのかしら?」
「!!・・・珍しいです。お嬢様が人の様子を気にするなんて」
「・・・・・・」
「こほん。寧々は入浴、八枝は武器の手入れ、瑠璃と楼無はお菓子のレシピを作っています」
凜華の鋭い視線に気付き咳払いと共に説明した。
「そぅ」
紅茶を一口飲み深いため息を吐いた。
「なにか心配ごとがありますか?」
「いいえ、特に無いわ」
「それではそろそろ就寝されますか?」
「そうね。休ませて貰うわ」
「お部屋の方へどうぞ」
「ひとりでいけるわ。あなたももう自由にしていいわ」
「承知しました」
美夜は頭を下げ凜華が部屋を出るのを見届けた。
ペタペタ━━━
ダメね。気分が良くないわ。
明日、愛と舞に会えるから緊張してるのかしら?
私が緊張?・・・ふふ、あり得ないわね。
緊張する理由も必要も無いわ。
それでも内心、違和感があるのは否定出来なかった。
ガチャ━━━
寝室に入るとベッドがしわひとつなく整えられていた。
完璧な仕事ね。まぁ、当然の話だけど。
静かにベッドに入り枕元のライトを消した。
完全な闇が寝室を支配する。私が最も安心する時間。
闇は私を隠す。闇は全てを飲み込む・・・
安心した顔で目を閉じると意識は闇へと溶けていった・・・
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