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「久実様!!危険です!!」
「私の事よりもこの子を!凜華を!!早くッ!」
「は、はい!」
私はすぐに病院へと運ばれた。
規則の正しい機械音、消毒液の匂い。
目覚めた時私は石の冷たい床ではなくふかふかの温かいベッドに寝ていた。
「凜華、起きたの?」
その優しい声の方に私は顔を向けた。
「あ……あぅ…あ」
言葉の喋れない私にとって思いを伝える方法は呻くか表情で表すしかなかった。
それでも……
「そうなんだ。私と会えて嬉しいんだ……えへへ」
お義母様は私の伝えたい事を分かってくれた。
そして五ヶ月の月日が流れた。
体調はすっかりと良くなりお母様に思いを伝えたい一心で言葉も覚え、沢山の知識を得た。
「うふふ、凜華ぁー!!!」
「お義母様恥ずかしいです」
「良いの、良いの。気にしないで」
奏柳久実(ソウリュウ クミ)私の母である。
母と言っても本当の親は知らないので義理の母だ。だけどそんなことは関係無い。私にとってお義母様こそがこの世界でただひとりの母である。
見ての通り親馬鹿。どんな時でも私に抱きつき頬ずりをする甘々なお義母様。
「お義母様そろそろ離れてください」
「えー嫌なの!?」
「あ…あ、あぁ……い、嫌ではありません」
「きゃぁぁあああ!!!凜華可愛い!!!」
ムギュウウ━━━━
「相変わらずですね」
「そうだね」
二人のメイドは微笑みながら凜華と久実を見ていた。
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