7人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「……私としたことが、忘れていました。コレに触れて『入れ』と念じれば入れます」
「わかった」
僕は触手を伸ばし、新しい体に入り込む。
凄く馴染む。流石ニャルのお手製だね。分身を創らせたら右に出る者は居ない。
「ニャル、ありがとうね」
「勿体なきお言葉。さて、アザトース様。ヨグ=ソトースが迎えに来ました。どうか、あちらの世界を楽しんで下さい」
「うん。ニャルも地球で楽しんでね」
「勿論です」
うん。ニャルの人間モードのスマイルだけで人間が支配できるね。爽やかすぎる。
「ニャル、その笑顔はモテるよ」
「……そうですか?」
「うん、間違いない。まぁ、試して見なよ。じゃあ、僕は行って来ます」
「行ってらっしゃいませ」
僕はニャルに手を振り、目の前のヨグ=ソトースに飛び込む。彼は次元の狭間その物。一瞬で目的の世界に着いた。
便利だけど、人間が入ると蒸発したりするから危険なんだ。
まぁ、僕は何ともないけど。
「ありがとう、ヨグ=ソトース」
『コォォォ……』
「じゃあねー」
彼は喋らないけど良い奴だ。人間と結婚したこともあるらしい。僕は結婚したことは無いけど、人間の女は可愛らしくて好きだ。
せっかく人間の身体を手に入れたし、ハーレム建造も良いかもね。
まぁ、そんな妄想よりも。
「先ずは大気圏突入しないとね」
今はお目当ての星の衛星軌道上にいるんだよね。
どこに降り立とうか。
「まぁ、詳しい落下場所は落ちてからのお楽しみにして。落ちるのはあの大陸にしよう。おっきいしね」
僕は背中から翼を生やし、大陸に向けて落下を開始した。
その日、魔の森に流れ星が落ちた事が大陸に知れ渡るのは翌日の事。
僕と人間の初めての接触は、落下から7日後の事だった。
最初のコメントを投稿しよう!