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無事落下に成功した僕は速度を無理やり翼で落とし、森の中に降り立つ。
取り敢えず、この森が当分の拠点に成る筈。なら、此処の生態系の頂点に立つべきだよね?
「さてとっ! 出て来い魔物。美味しく食べてあげるよ」
ん? 魔物じゃないけど猪発見だ。
僕はお腹が空いてるから丁度良いね。
手頃な石ころを拾い、全力で投げつける。石ころは余裕で音速に達し、岩が割れるような音と共に猪の頭にめり込んだ。
「いただきまーす」
生のまま猪にかぶりつく。うん、癖があるけど悪くないね。美味しい。
「ステーキにしてみようかな」
火の邪神ツトゥグァの下っ端を召喚して猪を丸焼きにする。
もちろん、役目が終わった下っ端は僕が丸呑みにした。下手に逃がしたら火事が増える。火を出す能力も吸収したかったしね。
「ステーキ、ステーキ、素敵なステーキ~。僕の朝ご飯はステーキ~」
歌いながら猪を焼き上げていくと、美味しい匂いが辺りに広がり、魔物が集まる。
これは早く食べないと取られちゃうね。
僕は猪を手早くタルタルステーキに加工し、飲み干した。
表面は炙ったけど、お腹壊したら嫌だな。
「まぁ、お腹痛くなったら薬草食べればいいか。それよりは、君達の相手が先だね」
目の前にはワイバーン。大きさは五メートル。多分、下位の竜だと成体サイズだろう。
ワイバーンは僕を餌と認識したのか、口を開けて突っ込んで来る。この馬鹿な行動から考えたら知性は無さそうだね。
僕は避けるでもなく、ワイバーンにテレパシーを使う。クトゥルフの物真似だけど、上手く壊せるかな?
取り敢えず、宇宙創世から今までの出来事を全てワイバーンの脳に叩き込む。案の定、スペックが足りなかったワイバーンの脳はショートした。
「成功したね。クトゥルフとは少し遣り方が違うけど出来たから良いや」
「グォォ」
「あぁ、まだ生きてたね。……誰も見てないし、普通に食べるのもしんどいや」
僕が糸より細い触手を一本刺すと、ワイバーンはストローで吸われるかのように消えた。勿論、僕の触手に吸い込まれたんだけどね。
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