それと呼ばれた子

プロローグ

1973年3月、カリフォルニア州デイリーシティ。
僕の１日は、キッチンに溜まったお皿を洗うことから始まる。

お皿を洗いながら、僕はいつも焦っている。

流しにつんであるお皿を、決められた時間内に全部洗わないと、母さんに怒られるからだ。

間に合わないと僕は叩かれ、朝ご飯抜きになる。

昨日の夜も何も食べてないから、お腹がすいてフラフラする。

ロン兄さんと弟のスタンが食べている朝食のいいにおいがしてくる。

僕もどうにかしてなにかを食べなくちゃ。

母さんはぎょうぎの悪いロン兄さんと弟のスタンをどなりつけている。