魔法世界ノスタルジア

39/66
2222人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「……!皆、跳んで!」 私の指示に、先陣を切っていた私とレイは右に、他の皆は左に回避する。 直後、さっきまでいた場所を何本もの光線が蜂の巣にする。一瞬遅れていたら、と思うと寒気がする光景だ。 「はっ、しまった!」 私達と皆の間には、致命的な程に距離が空いていた。 これでは、各個撃破されるだけではないか! 私の考えを読んだかのように、次の瞬間地面から石壁がせり上がり、あっという間にドームを分断してしまった。 「やられた……!」 「そんな!」 歯噛みする私に、叫ぶレイ。罠だと分かっていたのに、まんまと敵の術中に嵌まったという訳だ。 「駄目だ。念話も通じない!」 あの壁には、念話遮断機能があるらしい。多分、魔力を打ち消す働きもしているだろう。 「レイ、別の道を探すしかないみたいだ!」 「でも、どうすれば……」 「とにかく、あれを突破するしかないね」 壁に背を向けると、ロボットに包囲されていた。その数、ざっと500はいそうだ。 「レイ、武器は?」 「えっ、その……フィーネなんだ」 生きる武器……フィーネが……でも、今は考えるのは後だ。 「そう、なら召喚して。契約してるなら、パスは繋がっているはず。背中は任せて」 「でも……」 「そうそう、足止めはいいけど、レイ。別に、倒してしまってもいいのだろう?」 某赤い弓兵のセリフを拝借し、私はレイに微笑みかけ、黒夜を構えて敵のただ中に飛び込んだ。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!