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その後、沸き出るロボットの軍勢をばったばったと薙ぎ倒し、私達は一枚の扉の前に到着した。
「人の……気配がする」
ここまで生命の息吹を感じなかったが、ようやく生体の出す気配を察知した。
しかも、この気配は……厄介になりそうだ。
「レイ、気をつけて。相手は私達と同じ転生者だ。しかも、私に近い力を持ってる」
「そうなの!?どうして分かるの!?」
「私、だからだよ」
「えっ?それってどういう……」
「話しは後。行くよ!」
レイの返事を待たずして、私は扉へと縦横無尽に漆黒の刃を振るう。
いくつもの破片に分割された金属の扉の向こう。無機質な白いタイルに囲まれた部屋にそいつは居た。
長い間雨風に晒したようなところどころ破れた黒いローブを痩身に纏い、まるで影のようにゆらりと立つ少年。
「久しぶり。少し痩せたみたいだね」
久方ぶりに会う旧友のように、私は静かに語りかけた。
「………俺を捨てたお前が、俺の心配とはな」
嘲笑か、あるいは自嘲か、彼は片頬を持ち上げて皮肉った笑みを作り出す。
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