1人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも男の子は次の日も次の日も、変なものを女の子にあげようとしました。
「これ、あげる」
ある時はバッタやカマキリ、ある時はダンゴムシやネコジャラシ……。
女の子はその度に大まかな声で泣きながら、時には力一杯に「いらない」と言っているのに、男の子は何度も女の子の要らないものを上げようとし続けます。
嫌われているのか、なんて思考もまだない無邪気な時間。
女の子のお母さんも、頭を撫でながら話してくれました。
「お友達になりたいだけじゃないかな?一緒に遊びたいだけじゃないかしら?」
要らないものを手のひらに受け続けて来た女の子は、イヤイヤと泣きながら涙を手のひらで拭いています。
「なら、キチンとお話しして見たらいいんじゃないかな?」
グスグスと鼻を鳴らしてぐずっていた女の子は、もやもやしたまま泣き疲れて眠ってしまいました。
朝が来て、ご飯を食べて、近くの公園に遊びに来た女の子は、そこであの男の子を見つけます。
男の子の姿を見たとき、お母さんが言っていた言葉を思い出しました。
「キチンとお話ししてみたらいいんじゃないかな?」
いらないと首を横にふり続けた女の子は、勇気を出して掌を握りしめると、その男の子に聞いてみることにしたのです。
丁度男の子は、木からぶら下がるミノムシを捕ろうと、手を伸ばしているところでした。
女の子は慌てて声をかけます。
「そのミノムシは要らないよ。ねえ、どうして私に変なものばかりくれようとするの?」
最初のコメントを投稿しよう!