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「まぁいいわ」
ガタッと音を立てて、椅子に座る。
夕暮れの教室に、人間は僕達だけ。
時計は午後5時を指し、グラウンドからは運動部の汗臭い声が聞こえる。
「──で? 僕を殴れば図書室の本が某青たぬきよろしく出てくるのか?」
僕も彼女にならい、後ろの椅子に座る。
「何言ってんの? そんな事で出てくるんなら、あんた今頃塵よ」
足を組み、視線を乱暴に僕に寄越す。
視線だけで軽く暴力振るえるとか、コイツはプロだな。 何のかは知らないが。
ハァ……と、彼女は溜め息を吐き、言葉を紡いだ。
「ホント、何でわたし図書委員になったのかしら」
「凄いよな、あそこまでジャンケン弱いとは思ってなかった」
10戦10敗、それが当時の彼女の委員決めジャンケンの戦歴だ。
この学校の図書委員の仕事は、定期的な本の整理、及び確認、図書室の掃除、陳列、etc.と、多岐にわたる。
更に、サボるとそれらを次回は1人でこなさなければならず、サボることも難しい。
そんなわけで、図書委員は絶賛大不人気の地位を不動のものとしている。
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