始まり後事件

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「まぁいいわ」 ガタッと音を立てて、椅子に座る。 夕暮れの教室に、人間は僕達だけ。 時計は午後5時を指し、グラウンドからは運動部の汗臭い声が聞こえる。 「──で? 僕を殴れば図書室の本が某青たぬきよろしく出てくるのか?」 僕も彼女にならい、後ろの椅子に座る。 「何言ってんの? そんな事で出てくるんなら、あんた今頃塵よ」 足を組み、視線を乱暴に僕に寄越す。 視線だけで軽く暴力振るえるとか、コイツはプロだな。 何のかは知らないが。 ハァ……と、彼女は溜め息を吐き、言葉を紡いだ。 「ホント、何でわたし図書委員になったのかしら」 「凄いよな、あそこまでジャンケン弱いとは思ってなかった」 10戦10敗、それが当時の彼女の委員決めジャンケンの戦歴だ。 この学校の図書委員の仕事は、定期的な本の整理、及び確認、図書室の掃除、陳列、etc.と、多岐にわたる。 更に、サボるとそれらを次回は1人でこなさなければならず、サボることも難しい。 そんなわけで、図書委員は絶賛大不人気の地位を不動のものとしている。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加