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歩くこと約3分。大河内が書いた地図のおかげで琢磨は迷うことなく家庭科準備室まで来ることができた。
コンコン
「失礼します」
琢磨はドアを開けようとしたが、中から
「あっ、ちょっとまって!」
という大河内の慌てた声と何かを急いで片付ける音がした。
「ふぅ…。ごめんね、さっ入って」
大河内は準備室のドアを開け、琢磨をなかに入れた。
「ちょっとごちゃごちゃしてるけど気にしないでね~」
そう言っている割にはきれいに片付いていており、部屋の奥には大河内が作ったであろう服が何着かマネキンに着せてあった。
「あの…、この服って先生がつくったんですか?」
琢磨は何着かあるうちの一つを指差した。
「そうだよ~。けっこう自信作なんだぁ」
相変わらず大河内はほわほわとした笑みを浮かべている。
「でもこの服、先生が着るには少しサイズが小さくないですか?」
琢磨の言うとおり、大河内が着るには少し丈が短いようだった。
「そうだね~。だってそれ、僕が着る服じゃないもん」
琢磨は服を指差しながらきょとんとしてしまった。
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