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「それでは治療終わりましたので、失礼しますね。副長さん、娘さんをしっかり躾てあげてください。」
ユウを娘と言われ、土方は苦笑いを浮かべる。一方ユウは、部屋を出ていく婦長に舌を出して小さく悪態をついていた。
「俺はお前みたいな不良娘を持った覚えはないんだが。」
「私もお前みたいな不良警官を親に持った覚えはない。」
「誰が不良警官だ!!」
怒鳴る土方を、ユウは鼻で笑う。だがすぐに、後ろにあるベッドに俯せた。そんな彼女を土方は心配そうに見やる。
「体のほうは、大丈夫か?」
「夜兎の血は治まった。だからなのか、なんだかぐったりする…。」
と、言いながらユウは目を細めていく。そしてものの数秒で、寝息をたて始めた。
「ったく、心配かけやがって…。」
土方はユウを抱き上げ、ベッドに寝かせると優しく布団をかけ、静かに病室を去って行った。
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