集うは骸

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吉原―――そこにある最高級ホテルの最上階に、微笑みを絶やさない男はいた。 「どう?最高の舞台は。」 彼がカーテンを開け放つと、薄暗い景色の中、江戸で最も高い建物―――空へとそびえ立つターミナルが見えた。それを見て、蝶が描かれた着物を着た男は笑う。 「随分豪勢な舞台じゃないか…気に入った。」 そう言って高杉はキセルから煙を吐き出す。その白煙に、神威は眉を寄せた。 「それ、止めてくれない?その煙好きじゃないんだ。」 神威は言い捨てると、高杉に背を向け明るくなり始める町並みを眺める。美しい街―――明日、自分の野望と共にこの街の中心であるターミナルが消えると思うと、言い知れぬ喜びが体を駆け巡った。そんな神威の耳に、耳障りな笑い声が響く。 「うるさいなあ、殺すよ?」 振り返った神威は番傘をくるりと回し、銃口を高杉に向けた。ピタリと笑い声が止まる。
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