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(食えない奴だ…。)
微笑みを絶やさず殺気と凶器を向けてくる男に、高杉は思う。今回のように味方ならば強力な人物だが、敵にまわせば最悪だ。いくら高杉が太刀打ちしても、鬼兵隊そのものを潰されかねない。
(まあそれはそれで楽しそうだがな。)
胸中で呟き、神威に見えないように笑う。未だ番傘を下ろさない神威に、高杉は軽く手を上げて「悪かった。」と言った。
「まあいーや。明日はせいぜい頑張ってね。」
「お前もな。」
黒い獣と、兎の姿をした化け物は互いに思考を巡らせ、笑う。
黒い獣はこの世界への反逆の為に。
兎の化け物は己が野望の為に。
「じゃあ俺は行くぜ。」
またキセルをくわえ、煙を燻らせながらドアへ歩いていく高杉を、神威は笑顔で見送る。
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