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高杉がドアノブを引こうとした瞬間、むこう側からドアが開かれた。
そこに立っていた人物に、高杉は少しだけ目を見開く。
「お前…。」
高杉が続けて何かを言う前に、その男はドアを押して高杉を押し出した。部屋に残されたのは、神威とその男だけ。
「遅いよ白銀、時間厳守って言ったろ?」
神威にそう言われた男―――狐の面を被った銀髪の男は、何も言わずに神威を見ていた。そんな彼に神威は笑いかける。
「何?今更俺を殺したくなった?」
返り討ちにしちゃうよー、とふざけた様子の神威に、面の奥にある朱い瞳が揺らめく。
「冗談だって。俺の命は神楽のモノだから、奪おうなんて思わないでね。」
白銀は神威から目をそらし、虚ろな目で窓からの景色を眺めた。そんな彼を、神威は観察するように眺める。そしてまた彼も、ターミナルへ視線を戻した。日が昇る街を眺めながら、なにか酔いしれるように、言う。
「舞台は整った。」
さあ後は
化け物達が踊るだけ
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