てふてふ

4/6
前へ
/25ページ
次へ
一瞬、高杉の目に入ったのは桃色。次の瞬間、左手は床に押し付けられ、右手は膝で固定され、喉元には果物ナイフが突き付けられていた。そして桃色の髪が、サラサラと高杉に降ってきた。穏やかにつぶられていた瞼が、ゆっくりと開かれる。 「…やっぱり青だったな。」 何故か満足そうに笑う高杉が瞳に映った事で、神楽は少し不思議そうに首を傾げた。 「…なんか高杉にソックリな敵アルな。」 「ソックリじゃねえよ、俺は高杉晋助だ。」 言い返すと、神楽が瞬きをした。寝起きでぼーっとした様子だが、左手を掴む力は緩まないし、果物ナイフの切っ先も微動だにしない。 (いつの間に戦闘慣れしたんだコイツ…。) 顔に微笑みを浮かべながらも、高杉は神楽の俊敏さに驚いていた。風の噂で、神楽は十年前にエイリアンハンターの修行に出たと聞いたが、それにしては様子がおかしい。エイリアンよりも、人を殺し慣れたような雰囲気を纏った彼女に、高杉の興味は益々増していった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加