対話

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何処に行くわけでもないし、行くあてもない。ユウは適当に民家の屋根を走り回り、何処かのビルの屋上に着いた。ごろんと寝転がり、薄暗い空を見上げる。 アノ男ヲ殺セ 頭の中で声がする。 「…黙れ。」 ユウが雑念を振り払おうとするが、また声は頭の中で響く。 アノ男ヲ殺セ 母ヲ傷ツケタアノ男ヲ 母ヲ裏切ッタアノ男ヲ 腕ヲ切リ足ヲ切リ 首ヲモギ取リ 臓物ヲブチマケテ 力ヲ解放シ 真ノ姿ヲ曝ケ出シテ 殺セ 殺セ 殺セ!! 「五月蝿い!!!!」 ユウは跳び起きて傘を振り下ろした。手応えはなく、傘は空を切っただけ。ユウはいつの間にか流れ出した涙を拭い、傘を下ろした。その時。 「随分荒れてるね、神羅。」 悪魔の声が、聞こえた気がした。
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