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「神威か、調度いい。」
振り返ったユウの表情に、神威の頬は緩んだ。
(いい顔してるなぁ。)
抑え切れない激情を持て余しているユウはもう限界だった。番傘を神威に向け、口角を上げる。
「来い、殺してやる。」
「珍しいね、ユウが積極的なんて。どうかしたの?」
そんな神威をユウは鼻で笑った。
「理由なんて本当は興味ないだろ?お前が本当に求めているのは、最強の敵との戦い―――つまり私との殺し合いだ!!」
吠え、ユウは神威に飛び掛かる。番傘を叩きつけるユウは、獣のように笑った。そんな彼女に、神威も微笑み返す。
「ああ、俺はお前と最高の殺しを楽しみたい。でもそれは、最高の舞台でだ。」
神威は番傘を薙ぎ払うと、ユウと距離をとった。
「…逃げる気か。」
「うん、残念ながらここは最高の舞台じゃないからね。」
ああ、惜しいなぁ。そう零し、神威はユウに背を向ける。
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