対話

4/4
前へ
/25ページ
次へ
「その感覚を忘れないでよ。どうしようもなく、全てを壊したくなる衝動―――それが俺達の本性だ。戦場を求め、血で血を洗う戦いを渇望する、それが夜兎だ。今お前は怒りに流されてるだけだと思ってるかもしれないけど、それは違う。いつか突然、抑えが効かなくなる。」 その時が。 神威が、笑う。 「お前が獣に成り果てる時だ。」 ユウは黙って話を聞いていたが、静かに神威を見た。真紅の瞳が神威に微笑み返す。そう思えたが。 ユウはいきなり自分にむかって仕込み銃の引き金を引いた。渇いた音が聞こえ、彼女の右足から血が飛び散る。 「ああああぁッ!!」 獣のように吠え、ユウはうずくまった。少しして、顔を上げる。その瞳は、いつもと同じ澄んだ色だった。 「私は負けない…お前にも、夜兎の血にも。」 そんなユウに神威は笑って。 「じゃあまたね、神羅。」 そう言って、夜の闇に消えた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加