プロローグ

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―嫌な夢を見てしまった。 あたたかい腕に包まれているはずなのに、なぜか体がぶるりと震えた。 私を包むこの腕は誰のものだろう。 顔を上げようとしても、強い力で抱きしめられていて、かなわない。 「…理世、ごめんな」 かすかに聞こえるくらいの小さな声が耳に届いた。 誰なのか、判別ができない。 どうして、この人は謝っているのだろう? 「でも、俺は、ずっと…理世のことを―」 切なげな声に涙がにじむ。 そんな悲しい声をしないで、お願いだから、 私は大丈夫だから、 ねえ、  ―――
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