1.夢とオアシス

3/5

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「理世、大丈夫?」 不安そうな顔をしてアキが声をかけてくる。 私は、ひじをついて寝転がっているアキに、そっと寄り添う。 「久しぶりに夢見た。すっごい、怖いやつ」 「え、どんなの?」 「嫌だよ。話したら、現実になりそうだし」 「それは、あるかも。でも、俺がいるから、もう怖くないよ」 アキが優しい笑みを見せて、ぎゅうっと私を抱きしめてくれた。 アキ―藤吉陽(ふじよし あきら)は、付き合ってから、ううん、出会った頃からずっと、私の心のオアシス。 私の乾いた心に、溢れんばかりの愛情と、水をくれるのだ。 そのおかげで、私の心は潤い、自分らしくいられるのだ。 特に私が前付き合っていた人と別れたときは、ずっとそばにいて支えてくれていた。 いっこ年下なのに、私より大人で、しっかりもので。 好きって気持ちを、惜しみなく私に注いでくれていた。 ちょっと優柔不断なところはあるけど、この人なら、大丈夫だって…そう思えた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加