1.夢とオアシス

4/5
前へ
/11ページ
次へ
「理世、まだ寝てる?」 優しく頭を撫でてくれながら、アキが聞いてきた。 アキの胸に埋めていた顔を上げて、首をかしげる。 今日、なんかあったっけ。 「内定もらった会社で、どーのこーのとか、言ってなかった?」 「…あー!」 「ま、でも午後からだよね?それまでは一緒にいれる?」 今日の午後から、ようやく内定をもらった会社で、内定者―つまり同期になるはずの人たち―の集まりがある。 私が就職することになった会社は、食品メーカー。 私は、事務として採用された。 人事の方によると、あんまり大きくない会社だから、同期は私含めて4人だという。 アキは私より一つ年下の大学3年。 私の所属する学部とは違うキャンパスの、工学部にいる。 もうそろそろ、アキの代が就職活動を始める時期になる。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加